News 特許審判部(PTAB)において刊行物(printed publication)であることを立証するための課題

2020年04月15日

John C. Alemanni (和訳:穐場 仁)

2019年12月、特許審判部(Patent Trial and Appeal Board (PTAB))は、先例となるHulu事件において、35 U.S.C. §311(b)に基づく制度の目的のため、申立人は、公知例が刊行物(printed publication)として適格であるという合理的な蓋然性(reasonable likelihood)を示さなければならないとした。1 また、先週、特許審判部(PTAB)は、刊行物(printed publication)の問題が重要な事項であり、追加的に5つの決定を先例的(precedential)または有益なもの(informative)として指定することを明らかにした。2 刊行物(printed publication)が公にアクセス可能であったか(public-accessibility)の問題は事実に大きく依存している一方、これらの事例から得られる教訓がいくつかある。

第1の事案は、審査に適用される基準と、付与後手続(post-grant proceedings)に適用される基準とを取り扱ったものであり、それらの基準が異なるものであると示している。Ex parte Grillo-Lópezにおいて、特許審判部(PTAB)は、同じFDAの記録が審査の引用文献として使用できたとしても、当事者系レビュー(IPR)において公にアクセス可能だったとは限らない旨を示した。その際、特許審判部(PTAB)は、審査の文脈では、審査官が一旦一応の事件(prima facie case)を提示した後は出願人が反証することが要求されるという立証責任の転嫁の枠組みを含むことを考慮した。 対照的に、当事者系レビュー(IPR)の申立人は、刊行物が公にアクセス可能であったことを証明する負担を負っている。

他の参考事例はすべてHulu事例より前に決定され、引用文献が刊行物(printed publication)として適格であるかどうかを決定するために特許審判部(PTAB)が使用した証拠について議論されたものである。 一般的に、これらの事例は、引用文献の公のアクセス可能性(public-accessibility)を証明するに特定の証拠が必要であるという意見を支持するものである。

このうち2つの事例は、論文(thesis)の公のアクセス可能性(public-accessibility)を扱い、1件はそれが認められ、もう1件は認められなかった事例である。 Sandoz事例では、申立人が関連する期間内に論文(thesis)が利用可能であったことについての具体的な証言を提供し、特許審判部(PTAB)はその証言が公の利用可能性(public-accessibility)を示すのに十分であることを示した。 Argentum事例では, 特許審判部(PTAB)は、申立が依拠した特定の論文(thesis)が関連する期間内に公的に入手可能であったこと、およびコピーをどのように入手したかを示すことができなかったと認定した。 関連する訴訟において公的に入手可能であった事実が合意されていたとしても、それが異なる文脈で行われ、かつ、申立申立人が当事者でなかったために決定的なものであるとは認められなかった。

特許審判部(PTAB)の実務者がよく知っているように、インターネットアーカイブ(Wayback Machine)上で特定の日付に入手可能で、かつ、宣誓供述書が添付された文書のコピーは、引用文献が公的にアクセス可能かどうかを証明するのに役立つ。3 最後に、特許審判部(PTAB)は、索引(index)がついている証拠は公共のアクセス可能性(public-accessibility)の証拠となるが、すべての場合において必要ではないことを示した。4

これらの事例から明らかなのは、特許審判部(PTAB)がレビュー手続を開始するか否かを決定する際に、刊行物(printed publication)の適格性を綿密に評価することである。 申立は, 関連する期間内に公衆の利用可能性(public-accessibility)を証明する証拠を提出しなければならない。 また、特許権者は引用文献に異議を申し立てる予備的応答(Preliminary Response)を提出するか否かを検討する際に、そのような証拠を綿密に評価しなければならない。

 


1Hulu, LLC v. Sound View Innovations, LLC, Case IPR2018-01039 (PTAB Dec. 20, 2019) (Designated: Dec. 20, 2019) (Paper 29).

2Ex parte Grillo-López, 2018-006082 (Jan. 31, 2020); Argentum Pharmaceuticals LLC v. Research Corporation Technologies, Inc., Case IPR2016-00204, Paper 19 (2016年5月23日); Seabery North America Inc. v. Lincoln Global, Inc., Case IPR2016-00840, Paper 11 (Oct. 6, 2016); Sandoz Inc. v. AbbVie Biotechnology Ltd., Case IPR2018-00156, Paper 11 (2018年6月5日); and In-Depth Geophysical, Inc. v. ConocoPhillips Company, Case IPR2019-00849, Paper 14 (Sept. 6, 2019).

3Seabery North American参照

4Sandoz参照